6月中旬くらいになると、どの中学校でもテストが始まります。
そして数日後には、テストの結果が返ってきます。
- 今回のテストはよかった
- 今回のテストは悪かった
生徒はテストの「結果」を見て感想を持つものです。テストにおいて結果は大事であり、どんなに勉強したとしても点数に反映されなかったら意味がありません。
そのためテストに関しては、結果にこだわる必要があります。
さて問題はここからが今回お話ししたい内容です。
「次は頑張る!」
テストの結果が思わしくないとき、次のテストに向けて意気込みを見せる生徒は多数います。
それ自体はよいことですし、その意気込みを長く続けてもらいたいと思うのですが、多くの生徒が見落としてしまっていることがあります。
それは「返却されたテスト、どうするの?」ということです。
返却されたテストで弱点発見
テストというのは、習熟度を測るものです。
何が分かっていて、何が分かっていないかを判断する材料となります。
簡単な話、テストで間違えたところは分かっていない、苦手であるということになります。
せっかく分かっていないところが分かったのだから、そこを克服する必要があります。
なぜ克服しなければならないのか?
それは高校入試の範囲であるためです。
高校入試の予行練習
中学で行われるすべてのテストは、高校入試へつながっています。
高校入試のテスト範囲は、「これまで習ってきたことすべて」です。中学3年生の内容だけではありません。もちろん中学1年生の内容だけではありません。
極端な話をすると、小学校1年生から中学校3年生までに習ってきたことすべてが範囲となるのです。
そして定期的に行われる学校でのテストは、高校入試のための小テスト、言い方を変えると予行練習のようなものです。
そのため苦手なものをそのままにしておくと、入試で出題された際には解くことができず、点数を落としてしまうのです。
簡単なイメージで説明 人によって満点が違う
人によって満点が違うと考えたことはないでしょうか?
分かりやすく図を使って説明します。
1年生から3年生までの内容が100%理解できているAさんは、入試では100点が最高得点となります。
一方Bさんの場合、1年生~3年生までのそれぞれの内容の理解度は50%です。そのためどんなに頑張ったとしても入試では50点が最高得点となります。
最後にCさんの場合、1年生~2年生の内容は50%理解していて、3年生の内容は100%理解しています。入試では66点が最高得点となります。
BさんもCさんも、1年生と2年生の内容を何とかしない限り、どんなに頑張ったとしてもこれ以上の点数は取れないのです。
この2人は3年生になってからでも、1年生と2年生の範囲の復習が必要となります。
このように、どのくらい勉強しているのか、どのあたりを苦手としているのかなど、人によってそれらは異なります。
結果的に試験を受ける段階で、すでに取れる点数の上限が異なってきてしまうのです。
返却されたテストはやる直し理解する必要がある
終わったテストは「はい終わり、次!」ではなく必ず見直す必要があります。
そしてできるだけ理解をする必要があります。
私がよく「過去のテストで満点を取れるようにするべき」と言います。
これを行わないと、図で表しているBさんやCさんのようになってしまいます。
よくあるパターンとしてはCさんのパターンです。
「1年生~2年生の時は勉強をしていなかった。もう3年生で入試もあるからこれから頑張る!」
といった考えです。そして3年生で行われる定期テスト勉強を頑張るのです。
過去の自分を振り返り考えを改め勉強を頑張る姿勢はとても評価できるといえます。定期テストでは範囲が限られているため、暗記科目であればそれなりの点数が取れるようになることでしょう。
しかし数学や英語のような積み重ね科目では、思ったようには点数を伸ばすことはできません。
また全体のまとめのテストでも上手く点数が取れません。
理由は単純です。
「3年生の範囲だけ勉強をしているから」です。
なぜかよくある思い込み
3年生の勉強を頑張ったら、3年生の内容はできるようになります。
しかし3年生の勉強ができるようになったからといって、1年生と2年生の内容が理解できるわけではありません。
よく考えれば当然のことなのですが、このように思い込んでしまう生徒がいるのです。
弱点を克服すればできることだけが残る
勉強というのはある意味単純です。
「できないことを失くせば、すべてできること」になります。
定期テストで「できないこと」は分かります。せっかくできないところが分かったのだから、それを克服しない手はありません。
時間が経てば「できないこと」が勝手に「できること」に代わる確率は非常に低いです。(場合によってはありますが、かなり可能性が低いです)
「3年生の勉強は1年生、2年生の勉強に比べて難しい。だから3年生の勉強を頑張れば1年生、2年生の勉強もできるようになる」
このような考えを持っている生徒が時折いますが、それは無理な話です。
英語でたとえると
たとえば1年、2年と全く英語を勉強してこなかった生徒が、3年生の英語で習う「現在完了」を完璧に理解したとします。
しかしテストでは「不定詞」や「進行形」など、2年生までに習う英語が普通に出てきます。それらを解くことはできません。
さらに単語を知らなかったら、現在完了の形を覚えていたとしても、そもそも単語の意味が分からず全く解くことができません。
積み重ね教科ではこのようなことが起こってしまうのです。
入試を目標にするなら
目標を高校入試に定めるのであれば、中学生で学ぶ全範囲を理解する必要があります。
なぜならそれが入試の範囲だからです。
そして意識的に「復習」を行っていく必要があります。
最も効率が良いのは、頭にテスト範囲の知識がある程度残っている状態で復習してしまうことです。時間が経ってからの復習は思い出すまでに時間を要してしまうのです。
毎回間違えたところをしっかり理解すれば、入試のための勉強もかなり楽が来ますし効率的な勉強を行えるようになります。
繰り返しますが、「できないことを失くせば、すべてできること」です。
返却されたテストは自分の弱点を見つけるための「宝物」だと思ってください。そして必ず間違えを直してください。直すというのは赤ペンで正しい答えを書くのではなく「理解する」ということです。