塾の講師の給料は、それほど高いものではありません。
あくまでも私の経験での話となりますが、中規模な塾であれば月給20万円前後ではないでしょうか。
年収にすると300万には届かないケースはよくあると思っています。
今回開講する塾では、塾講師の給与問題を解決したいと考えています。
アルバイトの時給からの想像
世間一般での塾講師の給与額は高いと思われているのではないでしょうか。
それは塾講師のアルバイトの時給が、1500円や2000円、都心部に行けば3000円以上の求人も目にすることがあるためです。
アルバイトの時給がそのくらいなのだから、正社員の給料はもっと高いだろうと思われているのかなと思うのです。
中規模塾の現状
大手の塾に関しては知りませんが、静岡県の中規模塾であれば、正社員として働く塾講師の給料額は恐らく20万円前後であると考えます。
私自身、塾の講師として正社員で働いていた時には、手取りで1ヵ月16万円程度でした。正直生活していくのはかなりキツイです。
私の勤めていた塾は複数の教室を展開しており、その中には生徒数が多いところもあれば、ほとんどいないところもありました。
生徒数が少ない教室に勤務している講師に対しても給料を支払う必要があるため、全校舎の収益を分配していたようです。
私の勤務していた校舎は生徒数がそれなりにいたため、もしその校舎だけの収益を務めている講師で分配していたとしたら、手取りで20万円は超える計算ではありました。
30人規模の収益
たとえばですが、生徒数が30人ほどいる塾の収益について考えみたいと思います。
中学1年生~3年生まで、それぞれ10人ずついたとします。
授業が始まるのは大体18時からです。これは中学生が部活があるため、どうしてもこのくらいの時間からの開始となってしまいます。
終わりの時刻は22時が一般的でしょう。
すると、1日で行える授業数は休憩時間を授業の間に入れると3コマほどとなります。
これをベースとして計算していきます。
1時間の授業を1000円とする
30人の生徒が全員5科目を取っていたとします。
それを1人の先生がすべて教えていたとしましょう。実際には専門教科があるため、1人の先生がすべてを教えるのはかなりの知識量が必要です。
そして1時間の一斉授業を受けるのに、生徒一人当たり1時間1000円払っていたとします。
3学年×5科目=15コマ
1週間各教科を1コマずつ授業を行ったとして、全学年こなすのに15コマを必要とします。
1日3コマですので、それが5日間で15コマとなります。1ヵ月で60コマ。
クラスが10人であるため、1時間あたりの塾の収益は10000円となります。
10000円×60コマであるため、60万円の収益となります。
生徒一人当たり5科目×4週間であるため、合計20コマの授業を受けることになります。1時間あたり1000円支払う計算ですので、1ヵ月の受講料は20000円となります。
1ヵ月の収益が60万円で、それを1人の講師が回していくのであれば、それなりの手取りを得ることができるでしょう。
一人ですべての授業を行うのは難しい
ここまで紹介した60万円の収益は、あくまでも計算上の話です。
実際1人の講師がすべての科目の授業を行うのはなかなか難しいと思います。
少なくても文系と理系の講師が一人ずつは欲しいところです。
すると2人の講師で60万円の収益を上げるということになります。
また生徒すべてが5科目取るというのもなかなかある話ではありません。そのため、実際にはもう少し少ない収益となってしまうと思います。
経費を引くとかなり少なくなる
ビジネスを行う上で必ず必要となるのは経費です。
塾の場合は、以下のような経費が必要となります。
- 家賃
- 光熱費
- コピー機リース代金
- 雑費
- 宣伝広告費
少なくてもこれらの経費は必要となります。
家賃は地域によって異なりますが、大体10万円~15万円。光熱費で3万円、コピー機リースで3万円。雑費で3万円。宣伝広告費で5万円程度を計上してみます。
ちなみに宣伝広告費は塾によってバラツキがあると思いますので、今回は計算の中に入れないようにしたいと思います。
60万円-(10万円+3万円+3万円+3万円)=41万円
今回はこのサイトのシュミレーションを利用して計算してみました。
これで行くと年間の収益が720万円。そこから給与以外の経費である228万円を入力し計算すると、税金が120万円前後と想像されます。
つまり1ヶ月当たり税金として10万円支払うこととなります。
よって41万円-10万円=31万円となります。これをそのまま給与として得ることもできるかもしれませんが、塾にいくらかでもストックしておかなければ、急な出費の際に困ってしまいます。
ということで、毎月5万円を塾に残したとします。
すると一人の講師の給与額が26万円となります。
※税金のことはそこまで詳しくないため、この計算が異なっている可能性は十分あります・・・。
つまり一人の講師が全科目を30人に教えたとして、1ヶ月で得られる給与は26万円となってしまうのです。
もしもう一人講師がいるのなら、得られる給与はその半分となることになります。
宣伝広告費を抜いている状態
先ほどもお話ししましたが、この計算は宣伝広告費を抜いている状態です。
大抵の塾は、回数こそ違いますが宣伝を行います。たとえばポスティングです。
ポスティングの1回あたりの料金は、配布する部数によっても異なりますが、5万円~10万円ほどです。
つまり塾にストックした1ヵ月~2ヶ月分のお金を、ポスティング1回あたりで使うことになります。
こうなってくると、誰も塾の講師を目指そうとは思わないのではないかと思うのです。アルバイトとしてならよいかもしれませんが、正社員として働くとなるとかなりきついのです。
塾のシステムを根幹から変える必要がある
このように生徒数を大量に集めることができない中規模な塾の場合、仕組み自体を変える必要があるのです。
生徒一人からもらう受講料を上げるという方法が一番早い解決策ではありますが、中学生の塾代として、どんなに頑張っても2万円~3万円と考えています。
その金額の中で、効果を出すためにはどうしたらよいかと考えたときに当塾「STUDY BASE」のスタイルである「毎日通塾可能・何時間でもOK」です。
この辺りは他の記事で言及したいと思います。
捻出できる塾代は限られる
ちなみにですが、生徒数が10人の場合、1科目当たり2000円の授業料で全員が5科目取っている状態であれば、講師のもらえる給料は単純に倍になるため、悪くはないと思います。
しかし生徒一人の塾代金が4万円となってしまうため、かなり家計にはきつくなってしまうことでしょう。
また生徒数を倍の20人集めることができれば、1科目当たりの授業料が1000円だったとしても、やはり収益が倍になるため、悪くないと思います。
しかし1学年で20人を集めるというのは、なかなか難しいと思うのです。
- 評判が広まるくらい素晴らしい授業を行っている
- 宣伝広告費をかなり使っている
- 周りにライバルの塾がない
- 集客しやすい立地
これらについてはまた別の記事でお話ししたいと思いますが、私の考えとしては「再現性のないシステムはなるべく導入するべきではない」と思うのです。
たとえば「評判が広まるくらい素晴らしい授業を行うこと」は、かなりハードルが高いのです。
講師自身が勉強できるだけではもちろんダメです。生徒の成績を上げる能力を持っている必要があります。
さらに生徒のキャラクターをしっかりと把握する能力を持っている必要があります。
保護者とのコミュニケーションが上手に取れなければなりません。
これらすべてを完ぺきにこなせる講師は、ごく限られています。つまりそれは再現性が低いということなのです。
再現性が高く、関わる講師がまともな収入を得られるシステムを、当塾では現実的なものとしていきたいと思います。