最近の中学生の傾向なのか、それとも当塾の生徒のみに該当する話なのかは分かりませんが、数学の等式変形に苦手意識を持っている生徒が多いように感じます。
個人的な見解ですが、等式変形の問題を解く際にあまり頭を使っていません。
ルール通りに作業をこなした結果、答えに勝手にたどり着いているといった感じです
分数が混ざるとわからなくなりやすい
どうやら分数が混ざるとわかりにくくなるようです。
たとえば以下のような問題。
$\frac{ab+2c}{x}=1$ $[c]$
$[c]$とあるため、最終的に
$[c]=$
の形になればよいです。
左辺の分母を無くす 分数の計算ではないようにする
普通に解こうと思うと以下のような考えで解いていきます。
左辺の分母の${x}$を無くすために、左辺等辺に${x}$をかける。
すると左辺の${x}$は$\frac{x}{x}$となるため${1}$となる。結果として${1}×{(ab+2c)}$となるため${ab+2c}$だけが左辺に残る。
右辺に${1}$をかけたため${1}×{x}$となり右辺は${x}$となる。
すると式は以下のように変化します。
${ab+2c}={x}$
これで分数はなくなりました。
左辺に邪魔なabを無くす
次に
$[c]=$
としたいわけなので左辺の${ab}$が邪魔になってくるわけです。${ab}$を無くすためには左辺を${ab}$で引いてあげればよいです。
${ab}-{ab}$といった感じです。すると${0}$になりますよね。${0}$になるため無くなったということになります。
しかし左辺を${ab}$で引いてしまったため、右辺に比べると${ab}$の分小さくなってしまいました。
左辺から${-(ab)}$をしたのは問題を解いている人が勝手にしたことです。
${=}$でつながっている問題は、左辺等辺は同じ大きさに保ち続ける必要があります。よくヤジロベーを例にたとえます。
左辺から${-(ab)}$をしたため、その分左辺は小さくなってしまいました。ということで右辺からも${ab}$を引いてあげます。
繰り返しますが、左辺でしたことは右辺にもしてあげなければなりません。ここを忘れてはいけません。
もちろん同じように、もし右辺に何かするなら左辺にも同じことをしてあげなければなりません。
つまり形としては
${ab-(ab)+2c}={x}-{(ab)}$
というようになります。
これを計算すると
${2c}={x}-{ab}$
となります。
左辺の2を無くすために2で割る
最後に左辺の${2c}$の${2}$を無くせば${c}=$の形になります。
${2c}={x}-{ab}$
${2c}$は${2}$と${c}$が掛け算された結果です。つまり逆の割り算をすればよいのです。今回は${2}$を無くしたいから${2}$で割ります。
$\frac{2c}{2}=\frac{x-ab}{2}$
という形となります。
左辺は約分ができるため${c}$だけが残ります。右辺は約分できないためそのままです。
これで終了です。
考え方としては以上のような感じではあるのですが、このような問題に慣れている人はこのようなことは考えていません。
ただそれでも理屈は知っておく必要があります。
ちょっとしたコツ まず分数を無くす
この問題で厄介なのはもしかしたら「分数」であるということかもしれません。
実はこれ、慣れている人であればなにも厄介ではないのです。むしろ一番初めにやることは「分数を無くすこと」っていうことがわかる分、楽かもしれません。
$\frac{ab+2c}{x}$
とありますが、これは$\frac{1}{x}$と$({ab+2c})$が掛け算した結果となっています。
もう少し違った表現にすると$\frac{1}{x}$と$\frac{ab+2c}{1}$の掛け算であるという考えとなります。
ちなみに$\frac{ab+2c}{1}$の理屈が思い付かない人もいるようです。
${100}$は分数にすると$\frac{100}{1}$
${a}$は分数にすると$\frac{a}{1}$
${ab}$は分数にすると$\frac{ab}{1}$
${ab+2c}$は分数にすると$\frac{ab+2c}{1}$
となります。別に分数にする必要はないのですが、今回はこのような考え方もあるということで分数にしています。
要するに分母の数をかければよい
理屈としては上記のようになっていますが、簡単な話、分数を無くすためには分母の数を反対の辺全体にかければよいです。
たとえば左辺が分数になっている場合、その分母の数を右辺全体にかければよいです。
たとえば今回の問題であれば
$\frac{ab+2c}{x}=1$
左辺が分数であり、分母が${x}$ですよね。それなら右辺全体に${x}$をかけてあげればよいです。
その瞬間に左辺の分数はなくなります。
よって
${ab+2c}={1}×{x}$
つまりは
${ab+2c}={x}$
となるのです。
分母をほかの数字にしてみる
例として分母をほかの数字にしてみます。
$\frac{ab+2c}{5}=1$
この場合
${ab+2c}=1×5$ よって ${ab+2c}=5$
となります。
再び式を少し変えてみます。
$\frac{ab+2c}{100104}=xyz$
である場合
${ab+2c}=xyz×100104$ つまり ${ab+2c}=100104xyz$
となるわけです。
自分のものにするためにはとにかく演習
言葉にすると以上のようになりましたが、冒頭からもお話ししているようにこのような問題を解く際にはあまり考えてはいません。
自然とペンが動いている感じです。
そのようにするためには、何度も類似問題を解いてしまった方がよいです。
よくいうこと 「あ」と書くとき考えている?
よく生徒に言うことがあります。
「「あ」という文字を書くとき、考えながら書いている?」
すべての生徒が
「考えていない」
と答えます。それは何度も何度も書いているためです。
どの勉強も同じです。練習をすればするほど、考えなくても問題が解けるようになります。少なくても中学生レベルの問題であれば。
もし考えているようであれば、それは完全に身になっていないということになります。
完全に身に付けるためには類似問題で反復練習しかありません。
等式変形の問題がもし苦手であるなら、とにかく類似問題を丁寧に解いてみるとよいでしょう。そして注意したいのは「暗算をしない」ということです。
丁寧に省略せず、1つずつの工程をたどっていくとよいと思います。